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一次/零次創作者として、今、何をすべきか?

2022年02月22日投稿 / 933字

零合舎および『零合』の立ち上げに際して

はじめに、私は二次創作をしたことがありません。 でも誰よりも二次創作者だった自覚があります。 何故か? 挑戦的な作家への憧れが創作の原点で、今も常に起点だからです。 何が好きで何に感化されたかは、同じ作品を浴びた読み手に伝わるものです。 影響元がどんな作品であれ、自身がそれをオープンにしたなら二次創作的である、今はそう思います。 一次創作には「最初からのファン」が存在しません。 社会がこうなる直前、私は一介の同人作家で一〇〇〇部ばかしの同人誌を出して、ようやく「壁」をよじ登りました。 でも一次でなく二次、紙ではなく電子書籍やWeb小説、何よりプロデュースが施されていたなら、見られる数は一つ二つ桁が違っていたかもしれません。 社会がこうなった後で、いろんな縁からちょっとばかし狂気の沙汰な本を作ったのは、すこし大人になったからです。 それでもなお「好き」に逆らえない、どうにかして「好き」を通すために、小さな出版社を立ち上げました。 「スタイルを貫くにせよ、ビジュアルで訴えるにせよ、継続していかねばならない」 ファンが流行を作る時代は終わり、流行にファンが付く時代には無力な言葉に聞こえるはずです。 新人賞や持ち込みより、二次創作やSNSからのスカウトでデビューが増えるのも自然な流れです。 けれども。挑み続ける者が作家を、ひいては次の時代を作ると信じるならば、一次創作者として零次創作者にもなるべきだと考えました。 だからこそ〝ここ〟で挑戦して〝ここ〟から大成してほしいのです。 大海で溺れるばかりだった私は、生き残ってしまったからには、作品が見られるための場を全力で作ります。 インディーズに毛が生えた荒野をともに耕すにせよ、腰掛けに使ってさっさと高みへ羽ばたくにせよ、いつか世界をあっと言わせる作家たちと。 独創を掲げ、独走する者どもが競争し、ときに協奏する雑誌をはじめます。 「向こう見ず」なアマチュアと「曲がらない」プロフェッショナルが集う城を築きます。 憧れられる側に立つべき・立っているあなたの作品を求めます。 私たちなりの新しい『オリジナル』を、そして『エンターテインメント』を、どうか見守って下さい。

二〇二一年十二月吉日 強風の日に、荻窪にて

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